「セファランチン」の効果について

薬用プランテルに配合されている成分「セファランチン」の効果について

プランテルは、中年以降の男性の象徴的な薄毛のタイプであるM字ハゲの改善を目的とした薬用育毛剤で、原因物質DHTの生産に関与しているⅡ型5α還元酵素の活性を阻害するヒオウギエキスやビワ葉エキス、ボタンエキスなどの育毛成分を配合しており、これらに一定以上の医学的効果を認められるということから医薬部外品として指定されている商品です。なお、M字ハゲが進行するのは、DHTの作用により誘導されるTGF-β(Transforming growth factor)という脱毛因子から脱毛指令が発信されることにより、毛母細胞の分裂が阻害される様になり、本来であれば3年~5年程度続く髪の毛の成長期が半年~1年程度にまで短縮されてしまうので、短くて細い毛ばかりになる軟毛化と呼ばれている状態に変化するという仕組みによるものです。

プランテルには、この根本的な原因物質の生産を抑制するために、Ⅱ型5α還元酵素をブロックするヒオウギエキスなどを配合しているのですが、これ以外にも育毛効果を発揮する複数の成分を加えているのが特徴で、円形脱毛症の治療に利用されていることでも知られているセファランチン (cepharanthine)もそのうちの一つです。このセファランチンは、中国や台湾に自生しているツヅラフジ科のタマサキツヅラフジから抽出したアルカロイド(alkaloid)で、1914年にStephania cepharantha Hayataの学名で、台北帝国大学の早田文蔵に発表された後に、血行促進作用や抗アレルギー作用、生体膜の安定化などの複数の有効性を発揮するということで、結核やハンセン病の治療薬としても利用されてきた歴史を持っています。ただし、投与時に激痛が生じるために患者に重い負担を強いてしまう上に、副作用により症状の悪化を招いてしまい、死亡するというケースも少なくはなかったために、現在ではセファランチンを結核やハンセン病の改善のために使用されることはなくなっており、医学的な適応は円形脱毛症、白血球減少症、耳鼻科による滲出性中耳炎のみとなっています。ちなみに、セファランチンは男性の薄毛の大部分を占めているAGAに対しての有効性は認められておらず、2010年に日本皮膚科学会が発表した男性型脱毛症診療ガイドラインでも、用いない方が良いという意味のC2に分類されています。これは、外用による有効性を検証した報告が、国内の症例報告1例のみであり、しかもそれは1% finasterideを内服するとともに、5% ミノキシジルを外用中の男性のAGA患者に、セファランチン外用を併用したところ、約 4 カ月後に前頭部の髪の毛に対しての増毛効果が認められたというもので、単独で作用を発揮したとは考えられないために、育毛剤に配合されているケースもほとんど見られません。

このような成分をプランテルが使用した理由は、AGAに対しての有効成分は既に配合しているからで、プラスアルファの作用を実現するためと推測されます。特に、頭皮の血行を良化することによる発毛促進と、抗アレルギー作用による頭皮環境の正常化を重視しているようで、公式サイトでは育てる力Ⅱの毛生促進有効成分として紹介しており、抜け毛予防ではなく増毛を期待していることが伺い知れます。つまり、ヒオウギエキスやビワ葉エキス、ボタンエキスなどでAGAの脱毛要因DHTをブロックした後に、セファランチンやセンブリエキスにより、髪の毛を健やかに成長させることで薄毛を改善するというのが、プランテルの育毛剤としての基本的な内容ということで、複数の成分による相互作用により目的を実現します。

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